パッチワークス活動記録 | 愛媛劇団

愛媛県松山市を中心に演劇活動する劇団です。2018.2.既成台本上演 2018.2.横浜公演

広島ジャンゴ感想「それでも」の先、の物語。

広島ジャンゴ感想「それでも」の先、の物語。


バナージ「分からない。俺には分かりませんよ。でも、分からないからって、悲しいことが多すぎるからって、感じる心を止めてしまっては駄目なんだ。」


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機動戦士ガンダムUC episode4「重力の井戸の底で」(映像特典付)(セル版)


僕の好きなガンダムUCの劇中、ジオン残党が市街地で報復虐殺を行い、そのどうしようもなさを

語る大人に対し、主人公バナージが言った台詞です。


先日見た広島ジャンゴで、僕はどうしようもなく、どうにもならない、ひと匙の救いや変化すら

おそらく飲み込まれてしまう現実の中で「それでも」ともがく人たちの生き方を感じました。


同調圧力、シングルマザー、過労死、地方の閉鎖性、そんな今。

暴力、理不尽、過酷な環境、性、死、むき出しの欲、そんな西部劇。


結局どこにいってもどこまでいっても人間なんて変わらないんだという絶望と。

結局どこにいってもどこまでいっても人間は必死にそこで生きてもがくという現実と。


「それでも」人間は絶望と現実のその先を求めずにはいられない業だったり、普遍的な在り方が、

この広島ジャンゴの中から感じました。


登場人物それぞれに「そうある」事情と理由があります。


利権を独り占めし、「自分の」街と宣う町長にも。

酒、女、暴力、を率直に求めるチンピラ3人にも。

世間のいやらしさ、変節、そうせざるを得ない弱さを持った娼婦たちにも。

崇高な理念を持った父親、慈愛に満ちた母親、その変節を受け入れられない純潔な娘、それぞれにも。


たぶん木村のお姉さんを追い詰めた会社の人たちにも。


誰も彼もが必死に生きて、価値観を暴力を気持ちを言葉をぶつけあって傷つけて殺し合って絶望して期待して裏切られて裏切って愛し合って、それぞれの「我が意」をここで生きていると示すためにぶつけ合わざるを得ない地獄のような今を描いた作品だと思いました。


その地獄だからこそ、ひと匙の救い、最後の山本さんと木村さんが話すことに観客は僕は「それでも」明日を生きていこうという力をもらえるのだと信じています。


「感じる心を止めてしまっては駄目なんだ」


終演後、泣きながらそんなことを思いました。


とてもいい時間でした。観に行けて本当によかったです。

来年も観に行きます。ありがとうございました!


(追記)


工場長が炎のストッパー津田恒実、背番号14のユニフォームを来ていたこと、そしてその工場長の写し身である町長が井戸堀りに命をかけた人々に対しての思い、誇りや尊厳を示したのは彼らだけだったと怒りや世間への侮蔑、絶望、自身の在り方を叫んでいたことから僕は津田恒実の生き方、最後の登板を思い出し、感じ、泣きました。工場長、町長の在り方から津田恒実への様々な思いを作品から僕は受け取りました。


(追記2)


声を出して泣いた木村さんのお姉さんの一人台詞。そして戦えなかった過去を救う、最後の銃撃戦での戦い。

あの台詞を自分の言葉として舞台で聞けたのは僕のこれからにとってとても大きな時間、出来事でした。


(追記3)


悪人3人組がすごすぎて好きすぎる。どうやればアレ出来るんだ。どれだけ精神削る作業したんだ、どうやってあそこまで自分たちを作り込んで染み込ませて「自分のもの」にしたんだ、どうやるんだ、ただっただもうアレでこれで敗北感というか打ちのめされた、本当に打ちのめされました。2時間「悪人として捉えられる」必然性のある人間として居続けるためにどうやったのかすんごい聞きたい。


(追記4)


意外に松山-広島間、車だと近いよ。(片道3時間ちょい)